人間の条件 (ちくま学芸文庫)
によって ハンナ アレント
3.8 5つ星のうち(28人の読者)
人間の条件 (ちくま学芸文庫)本ダウンロード - 内容(「BOOK」データベースより) 条件づけられた人間が環境に働きかける内発的な能力、すなわち「人間の条件」の最も基本的要素となる活動力は、《労働》《仕事》《活動》の三側面から考察することができよう。ところが《労働》の優位のもと、《仕事》《活動》が人間的意味を失った近代以降、現代世界の危機が用意されることになったのである。こうした「人間の条件」の変貌は、遠くギリシアのポリスに源を発する「公的領域」の喪失と、国民国家の規模にまで肥大化した「私的領域」の支配をもたらすだろう。本書は、全体主義の現実的基盤となった大衆社会の思想的系譜を明らかにしようした、アレントの主著のひとつである。
人間の条件 (ちくま学芸文庫)の詳細
本のタイトル : 人間の条件 (ちくま学芸文庫)
作者 : ハンナ アレント
ISBN-10 : 4480081569
発売日 : 1994/10/1
カテゴリ : 本
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ハンナ・アレント著、志水速雄訳『人間の条件』(ちくま学芸文庫、1994年)は全体主義の問題に向き合った政治哲学の書籍である。本書はジャン・ジャック・ルソーについて、国家の抑圧に対する反抗ではなく、「人間の魂をねじまげる社会の耐え難い力にたいする反抗や、それまで特別の保護を必要としなかった人間の内奥の地帯にたいする社会の侵入にたいする反抗」を評価する(61頁)。この視点は集団主義的な日本社会にとって特に重要である。本書は詩や音楽、小説のような芸術の隆盛と連動して建築のような公的芸術が衰退したと指摘する(62頁)。ここにはトレードオフの関係がある。公的芸術は壮大であるが、集団的な成果を追求することは個人を押し潰す面がある。大勢の人を駒としなければ成立しない芸術が衰退することは個人主義の見地から好ましいことになる。本書はプルードン解釈も面白い。プルードンは私有財産を批判したが、全面廃止には躊躇したとする(95頁)。何故ならば全面廃止は暴政というより大きな悪をもたらすためである。これはソ連型社会主義の失敗を予見する指摘である。その上で本書は私的領域の重要性を指摘する。金儲けのための私有財産ではなく、生活の場として私的領域が保護されるものである(102頁)。この点はマネーゲームや競争重視の自由主義者や新自由主義者にはき違えがあるだろう。
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